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幻灯(改訂版)、振付の小㞍健太インタビューを掲載しました。

「NHKバレエの饗宴2024」で披露される、中村祥子&小㞍健太「幻灯」(改訂版)。日本を代表するバレリーナ中村祥子と、コンテンポラリーダンスの名門ネザーランド・ダンス・シアターⅠで日本人初の男性団員として活躍、振付家としても力を発揮する小㞍健太のコラボレーションに期待が高まる。振付・演出の小㞍が「幻灯」の来歴や創作への思いを語った。

取材:高橋森彦(舞踊評論家)

――小㞍さんの振付作品「幻灯」は2013年初演です。当時なにを考えて創作しましたか?

初演された昭和音楽大学バレエ特別公演でのテーマが、「近代から現代へ―新しいバレエの息吹」だったこともあり、バレエダンサーとコンテンポラリーダンサーの共演作品を創作したいと考えました。この作品では、クラシックバレエとコンテンポラリーダンスの技術だけでなく身体感覚から得る表現の可能性を、ダンサーたちの共演という実践的な手法で影響を受け合いながら見出していくことを試みました。

――タイトルの「幻灯」にどのような意味を込めましたか?

「幻灯」とは、強い光を照らして映写幕へ映して見せる仕掛けで、舞台に自身を投影させるダンサーたちの「瞬間を記録する」という意味を込めています。わたしの作品制作の根底には「アーティストやダンサーが経験する記憶を、共演者や観客とともに、舞台芸術を通じて再構築することによって記録したい」という考えがあります。そして、共演者からの影響を受け合うという点での「影響」=「光」=「可能性」と捉えたところも、タイトルの由来の一つです。また、タイトルの読みである「げんとう」には、「厳冬」すなわち厳しい時期を乗り越えていくこと、「現当」すなわち私たちは来世に何を求め現世をどう生きたのかということのダブル・ミーニングもあります。

――音楽にマックス・リヒターを使った理由をお話しください。

音楽を探しているときに、発売されたばかりのリヒターの楽曲に出会いました。ヴィヴァルディの「四季」の音楽要素を抽出してリコンポーズされた楽曲は、古典派であると同時にとても現代的で、自然と自身が持つ身体感覚のイメージと結びつきました。また旋律とミニマルな音のループは、時間の流れを連想させ、作品コンセプトに合うと感じ、この楽曲に決めました。

――このたび「NHKバレエの饗宴2024」で改訂版を発表します。中村祥子さんと小㞍さんのデュエットとしてリ・クリエイションしようと思われた経緯は?

ダンサーとして歳を重ねながら表現を探求していくことの意義と魅力を、同年代の尊敬するバレエダンサーの祥子さんと思考したいと考えました。

――構成など変わる点はありますか?

初演当時は4名の20代のダンサーを中心に構成された作品でしたが、今回はデュエットとして、リメイクしているので、短くなっています。また祥子さんとの対話から、ポワントワークでのパートも新たに加えました。互いの経験を共有しながら、40代のわたしたちの身体に合う表現に改訂しているので、振付的には新しい作品のようです(笑)。

――テーマとの向き合い方に変化はありますか?

わたし自身も踊るので、初演時よりも主観的な視点が入っていると思います。そこで、振付協力/指導に、オランダ時代からの先輩である渡辺レイさんに入っていただいて、祥子さんと3人で意見交換しながらクリエイションを進めています。振付の意図やムーブメントに関しては、音楽から感じるイメージや質感をもとに、形やフォームではなく、ダンサーが共有した感覚(タスク)を用いて、質感から動きへと転換することを重視しています。ダンサーは練習することによって、振付を上手に踊ることができるようになりますが、ある意味では機械的になってしまいます。ですので、振付の意図について考えること、感じることを常に意識しています。パフォーマンスでは、祥子さんとリアルな感覚で、その瞬間を記録したいです。

――中村さんとの協同作業の印象はいかがですか?

祥子さんはとても素直な人で、吸収力がすごい! だからこそ、挑むことを楽しめる精神があるのだと思います。リハーサルが始まって、祥子さんから「ポワントはセカンドスキンみたい。だから、ポワントで踊ることで自身の身体性をよりよく感じるから、ポワントでも振付に挑戦できないだろうか」と相談がありました。当初は、ポワントを履いて踊ることを想定していませんでしたが、「素の自分(裸足)とダンサーの自分(ポワント)」の両面を見せるというアイディアが思い浮かびました。

――本番に向けての期する思いをお聞かせください。

多くのダンサーは、40歳前後で引退を迎えます。ですが、本作では、40代となったわたしたちが今できる表現を紡いでいきたいです。未来に向けて。


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