アレクサンドル・デュマ・フィスの小説「椿姫」に想を得たバレエ作品といえば、ノイマイヤーの『椿姫』全3幕(音楽:ショパン)が知られますが、本作は一幕もの。今回はそこからマルグリットとアルマンの愛を物語る3つのパ・ド・ドゥをご覧いただきます。
振付の山本康介は、英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団出身で指導者・解説者としても活躍。振付家としては古典作品の改訂などのほか物語バレエにも取り組み、音楽性豊かな踊りと明快な展開により親しみやすい舞台を生んでいます。『椿姫』ではヴェルディのオペラ曲ではなく、”愛の夢”などリストのピアノ曲を用い(アシュトンの『マルグリットとアルマン』とは選曲は別)、主人公の出会い、葛藤、別れを手に取るように伝えます。
マルグリットの中村祥子は円熟の域にあり、アルマンの厚地康雄もノーブルな魅力を保ちながら役柄の幅を広げているだけに、大人の深い愛のドラマが立ち上がるでしょう。