
第177回 NTT東日本 N響コンサート<終了しました>
公演概要
「音楽はコミュニケーション」をコンセプトに、NTT東日本の社会貢献活動として、30年を超える実績を誇る「NTT東日本 N響コンサート」。今回は、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、初の無観客・インターネット配信でお届けします。名実ともに日本を代表するピアニストを迎え、元気の出る魅力的なプログラムを揃えました。
今回ソリストとして迎えるのは、チャイコフスキー国際コンクールとショパン国際ピアノコンクールという世界3大コンクールの中の2つに、日本人として唯一入賞した実績を持つ小山実稚恵。現在は上記2つの国際コンクールに加え、ロン・ティボー、ミュンヘンといった名だたる国際コンクールで審査員を務める重鎮です。国際的な評価はもとより、国内での意欲的なリサイタルシリーズや海外の著名オーケストラへの客演などの活躍により、人気・実力共に日本を代表するピアニストです。今回、彼女が豊富なレパートリーの中から選んだのは、世界3大ピアノ協奏曲の一角を成す、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。ダイナミックにしてメロディアスなこの曲は、特に冒頭のフレーズがクラシックの枠を超えて有名です。「NTT N響コンサート」では、記念すべき1985年の第1回公演に、中村紘子の演奏で披露されました。
後半は今年が生誕250年の記念イヤーであるベートーヴェンの名作、交響曲第7番をお送りします。
リストが「リズムの神化」、ワーグナーが「舞踏の聖化」と称えたこの曲は、戦争や失恋、体調の悪化など苦難の時代を乗り越えて新しい歩みを始めたベートーヴェンの前向きな力が溢れている作品です。大人気ドラマ「のだめカンタービレ」のテーマ曲としてご存知の方も多いでしょう。指揮は国内外のオーケストラからの信頼も厚く、数々の名演、名盤で受賞歴も多い飯森範親。東京交響楽団正指揮者、ドイツ・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督、山形交響楽団芸術総監督を務めるほか、2020年からは東京佼成ウインドオーケストラおよび中部フィルハーモニー首席客演指揮者にも就任します。N響とも度々共演を重ねており、特に2003年に指揮したマーラーの交響曲第3番は、日本人指揮者として唯一の年間ベスト10コンサートに選出されています。
また今回ならではの企画として、魅力的なナビゲーターが登場します。クラシックが大好きな脳科学者の茂木健一郎氏、元N響首席オーボエ奏者で指揮者・エッセイスト・コンサートプロデューサーとしても活躍する茂木大輔氏、コンサートナビゲーターとして活躍するアナウンサーの田添菜穂子氏の3人が、皆様をご案内いたします。
コロナの時代に明るく前向きな力が漲り、気持ちの上がるプログラムを揃えました。ぜひお楽しみ下さい。
公演情報
配信日時
2020年10月31日(土) 15:00演奏開始
出演
指 揮/飯森 範親
ピアノ/小山 実稚恵
管弦楽/NHK交響楽団
ご案内役/茂木健一郎(脳科学者)
茂木大輔(元N響首席オーボエ奏者、指揮者、エッセイスト、コンサートプロデューサー)
田添菜穂子(アナウンサー、コンサートナビゲーター)
曲目
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
ベートーヴェン:交響曲第7番イ長調作品92
主催
NTT東日本
企画制作
NHKプロモーション
出演者
飯森 範親 (指揮) Norichika Iimori, Conductor
桐朋学園大学指揮科卒業。ベルリンとミュンヘンで研鑽を積む。94年から東京交響楽団の専属指揮者、モスクワ放送交響楽団特別客演指揮者、広島交響楽団正指揮者などを歴任。96年の東京交響楽団ヨーロッパツアーでは「今後、イイモリの名が世界で注目されるであろう」と絶賛された。04年シーズンより山形交響楽団の常任指揮者に着任し、次々と新機軸を打ち出してオーケストラの活動発展と水準の向上に目覚しい成果を挙げている。07年より音楽監督に就任。08年にはアカデミー賞映画「おくりびと」にも出演するなど、「飯森&山響」コンビのエネルギッシュな活動はいま大きな注目を集め、2011年には山形県より齋藤茂吉文化賞を受賞。
海外ではフランクフルト放響、ケルン放響、チェコ・フィル、プラハ響、モスクワ放響、北西ドイツ・フィル、デュッセルドルフ響、ドルトムント・フィル、バーゼル響、チェコ国立ブルノ・フィル、チェコ国立モラヴィア・フィル、ホノルル響、アルトゥール・ルービンシュタイン・フィルなど世界的なオーケストラを指揮。01年よりドイツ・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団の音楽総監督(GMD)に就任、日本人指揮者とドイツのオーケストラの組み合わせとしては史上初の快挙となる「ベートーヴェン交響曲全曲」のCDをリリースし、06年の日本ツアーを成功に導いた。同オケとは2017年5月にミュンヘンのヘルクレスザールを始めドイツ国内ツアーを指揮。また、同年9月にはポーランドのオルシティン・フィルのシーズン開幕定期公演を指揮し成功を収めた。
国内外の多くのオーケストラとの間に築かれた類稀な信頼関係、信頼を裏付ける着実な活動の輪の広がりが高く評価され、05年「渡邉暁雄音楽基金 音楽賞」を受賞。さらに、近現代作品や日本人作品の初演・再演に対する業績により、06年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年度 中島健蔵音楽賞を相次いで受賞した。2012年東京交響楽団との《レスピーギ:交響詩「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭り」》はレコード芸術誌特選盤、2015年日本センチュリー交響楽団と収録を行った「マーラー:大地の歌」「ハイドン交響曲集vol.1」はレコード芸術特選盤に選出。2016年には世界的にも数少ない日本初となる「モーツァルト交響曲全集」を山形交響楽団と収録し第55回レコード・アカデミー賞(特別部門 企画・制作)を受賞。また、日本初演となった東京交響楽団定期公演との「ポポーフ作曲交響曲第1番(ライブレコーディング)」は、オクタヴィアレコードよりCD発売され、レコード芸術誌、朝日新聞 for your Collection両特選盤に選出された。 東京交響楽団正指揮者、いずみシンフォニエッタ大阪常任指揮者、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団首席客演指揮者。2014年シーズンから日本センチュリー交響楽団首席指揮者。2017年より山形交響楽団音楽監督、19年シーズンより同楽団芸術総監督に就任。2020年1月より東京佼成ウインドオーケストラ首席客演指揮者、同年4月より中部フィルハーモニー交響楽団首席客演指揮者に就任。
小山実稚恵(ピアノ) Michie Koyama, piano
人気・実力ともに日本を代表するピアニスト。チャイコフスキー国際コンクール、ショパン国際ピアノコンクールの二大コンクールに入賞以来、今日に至るまで、コンチェルト、リサイタル、室内楽と、常に第一線で活躍し続けている。
2006年~17年までの壮大なシリーズ『12年間・24回リサイタルシリーズ』は、その演奏と企画性が高く評価され、2016年度 芸術選奨文部科学大臣賞を受賞した。2019年春からは、新シリーズ『ベートーヴェン、そして・・・』が、全国6都市でスタート。
これまでに国内の主要オーケストラはもとより、モスクワ放送響(現・チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ)、ベルリン響、ロイヤル・フィル、BBC響、イギリス室内管、アカデミー室内管、ロッテルダム・フィル、シンフォニア・ヴァルソヴィア、ワルシャワ・フィル、モントリオール響、ボルティモア響などと共演しており、フェドセーエフ、テミルカーノフ、マリナー、小澤征爾といった国際的指揮者との共演も数多い。協奏曲のレパートリーは60曲を超える。
また、ショパン、チャイコフスキー、ロン=ティボー、ミュンヘンなどの国際コンクールでは審査員を務める。
東日本大震災以降、被災地の学校や公共施設等で演奏を行い、仙台では被災地活動の一環として自ら企画立案し、ゼネラル・プロデューサーを務めるプロジェクト『こどもの夢ひろば “ボレロ”』を毎年開催している。
CDは、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルと専属契約を結び、30枚目となる『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』は、「レコード芸術」の特選盤に選ばれた。最新盤は7月にリリースした自身初のベートーヴェンのソナタ録音『ハンマークラヴィーア・ソナタ 他』である。
著書としては『点と魂と ―スイートスポットを探して』をKADOKAWAより出版。また平野昭氏との共著『ベートーヴェンとピアノ 「傑作の森」への道のり』、『ベートーヴェンとピアノ 限りなき創造の高みへ』を音楽之友社より出版。
2005年度 文化庁芸術祭音楽部門大賞、2013年度 東燃ゼネラル音楽賞洋楽部門本賞ならびにレコード・アカデミー賞(器楽曲部門『シャコンヌ』)、 2015年 NHK交響楽団「有馬賞」、2015年度 文化庁芸術祭音楽部門優秀賞ならびに第28回ミュージック・ペンクラブ音楽賞、2016年度 芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2018年度 大阪市市民表彰を受ける。2017年度には、紫綬褒章を受章している。
東京藝術大学、同大学院修了。吉田見知子、田村宏両氏に師事。
NHK交響楽団 NHK Symphony Orchestra, Tokyo
NHK交響楽団の歴史は、1926年10月5日にプロ・オーケストラとして結成された新交響楽団に遡る。その後、日本交響楽団の名称を経て、1951年に日本放送協会(NHK)の支援を受けることとなり、NHK交響楽団と改称。この間、ドイツからジョセフ・ローゼンストックを専任指揮者として迎え、日本を代表するオーケストラとしての基礎を築いた。演奏活動の根幹となる定期公演は1927年2月20日の第1回予約演奏会に始まり、第2次大戦中も中断することなく続けられた。以来、今日に至るまで、ヘルベルト・フォン・カラヤン、エルネスト・アンセルメ、ヨーゼフ・カイルベルト、ロヴロ・フォン・マタチッチなど世界一流の指揮者を次々と招聘、また、話題のソリストたちと共演し、歴史的名演を残している。
近年NHK交響楽団は、年間54回の定期公演をはじめ、全国各地で約120回のコンサートを開き、その演奏は、NHKのテレビ、FM放送で日本全国に放送されるとともに、国際放送を通じて欧米やアジアにも紹介されている。また、2013年8月にはザルツブルク音楽祭に初出演、2017年春にベルリン、ウィーンをはじめ、ヨーロッパ主要7都市で公演を行うなど、その活動ぶりと演奏は国際的にも高い評価を得ている。 現在N響が擁する指揮者陣は、首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィ、名誉音楽監督シャルル・デュトワ、桂冠名誉指揮者ヘルベルト・ブロムシュテット、桂冠指揮者ウラディーミル・アシュケナージ、正指揮者 外山雄三、尾高忠明。
出演者
茂木健一郎(もぎけんいちろう)
脳科学者、作家、ブロードキャスター。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。東京大学、日本女子大学非常勤講師。1962年10月20日東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究。2005年、『脳と仮想』で、第四回小林秀雄賞を受賞。2009年、『今、ここからすべての場所へ』で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。2006年から2010年まで、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』キャスター。IKIGAIをテーマにした英語の著書が、31カ国、29言語で翻訳出版される。主な著書に、『脳とクオリア』、『生きて死ぬ私』、『東京藝大物語』、『ペンチメント』などがある。音楽関係の著書に、『すべては音楽から生まれる 脳とシューベルト』、『カラヤン 音楽が脳を育てる』、『音楽の捧げもの』、『音楽を「考える」』(江村哲二との共著)などがある。
茂木大輔(もぎだいすけ)
国立音大、ミュンヘン国立音大大学院修了(オーボエ専攻)。2019年までNHK交響楽団首席オーボエ奏者。指揮を故:岩城宏之、外山雄三、東京音大にて広上淳一、田代俊文、三河正典の各氏に師事。自らの企画による解説コンサートや「のだめ音楽会」などを通じて仙台フィル、群響、東フィル、OE金沢、九響、シエナなど多数の団体を指揮。ジャズ、漫画、美術、模型、落語、猫など趣味交流多数。TV/ラジオ出演多数。著書多数。現在東京音大指揮科助教。
田添菜穂子(たぞえなほこ)
福岡県出身。横浜国立大学経済学部卒業後、東北放送(TBS系列)にアナウンサーとして入社、その後フリーとなり東京に活動の拠点を移す。
テレビ、ラジオでニュース番組や情報番組のキャスターとして活躍する一方で、
クラシック音楽をこよなく愛することからコンサートナビゲーターとして国内オーケストラや室内楽のコンサート司会を数多く担当。NHK-FM『DJクラシック』(2012~2018)に出演。趣味はフルート。